犬にやさしい予防接種

DOG-FRIENDLY VACCINATION

世界基準の新しいワクチンプログラム

VACCINE PROGRAM

当院では、犬にやさしい獣医療の提供と科学的根拠に基づいたワクチン接種を目的として、WSAVA(世界小動物獣医師会)が推奨するガイドラインに基づいたワクチンプログラムを実施しております。

ワクチンが必要な理由

ワクチンは、ジステンパーや犬パルボなど、感染すると死亡率が高い病気に対抗するための免疫をつけるために必要なものです。

元々、仔犬は初乳により親譲りの免疫(移行抗体)を持っており、感染症から守られていますが、その免疫は8週齢から16週齢にかけて徐々に下がっていってしまうため、その時期を見計らってワクチン接種をすることが大切です。

ワクチンの抗体価について

ワクチン接種の目的は、免疫状態を保持するです。下記グラフはワクチン接種による抗体価のモデル図です。
長期にわたり抗体価が下がらない個体、発症防御レベルまで抗体価が上がらない個体、ワクチン接種後抗体価は上昇するがその後急激に下がってしまう個体も存在します。これを見極めるための指標として抗体価検査があります。
長期にわたり抗体価が
下がらない個体
ワクチンを接種しても発症防御レベル
まで抗体価が上がらない個体
ワクチン接種後抗体価は上昇するが
その後急激に下がってしまう個体

日本のワクチン接種率

日本は他の国比べ、ワクチン接種率が顕著に低い日本では、いつ感染症が流行しても不思議ではありません。
ワクチン接種でしっかりと免疫を維持する、もしくは、体内にウイルスに対する抗体があるのかどうかを検査することが重要です。

当院の従来のワクチンプログラム

当院の従来のワクチンプログラムでは、親譲りの免疫がワクチンの効果を半減させてしまう可能性を考慮し、初回接種が8週齢以内の場合は4週おきに3回、8週齢以上の場合は4週おきに2回接種し、1歳以降は下がった可能性のある免疫を補うために、毎年混合ワクチンを打っておりました。

週齢
(生後)
混合ワクチン 狂犬病ワクチン
初回接種が〜8週齢以内の場合 初回接種が〜8週齢以降の場合
〜8週齢
(2ヶ月)
初回接種    
8週齢〜
(2ヶ月)
初回接種から4週ごとに2回 初回接種を実施後、4週後に1回 生後90日以降に1回接種
1歳〜 年1回接種 年1回接種 年1回接種

新しいワクチンプログラム

近年、研究によってコアワクチンで予防できる感染症は、ある程度抵抗が長く持続する事がわかってきました。
そういったことから、 WSAVAは、不必要なワクチン接種を防ぐために、以下のようなワクチンのガイドラインを発表しました。

1.コアワクチンとノンコアワクチンの分類

ウィルスの致死性および世界の感染報告などから、ワクチンの接種の必要性をコアワクチン、ノンコアワクチンの2種類にわけました。

コアワクチン 世界中で感染がみられるうえ、致死性が高いため、全ての犬に接種すべきワクチン。
成犬では抗体検査によるウィルスへの抵抗を調べ、低い場合にワクチンを接種すべきもの。
◎ 犬ジステンパーウイルス
◎ 犬アデノウイルス
◎ 犬パルボウイルス2型
ノンコアワクチン 地域や生活環境により接種を行うべきであるが、ワクチン接種後のウィルスへの抵抗の持続期間が短いため、年1回接種が推奨されるもの。 ◎ レプトスピラ
◎ パラインフルエンザ

2.推奨ワクチン接種スケジュール

今までの「毎年全てのワクチン接種」という考えではなく、「ウィルスへの抵抗が比較的持続するコアワクチンに関しては、抵抗が低くなった時にワクチン接種を」という指針をWSAVAは出しております。そのため、1歳未満のワンちゃんは最終摂取が16週齢となるように2〜4週ごとに計2回接種し、1歳以上のワンちゃんは、コアワクチンについては抗体検査の実施し、3年毎よりも頻回に接種せず、抗体持続期間が短いノンコアワクチンは毎年接種することを推奨しております。

週齢
(生後)
混合ワクチン 狂犬病
ワクチン
コアワクチン ノンコアワクチン
8週齢
(2ヶ月)
第1回接種  
12週齢 2〜4週ごとに
計2回接種
生後90日以降に1回接種
16週齢
24週齢〜1歳 再接種  
1歳〜 抗体検査による結果により、3年毎よりも頻回に接種しない 年1回接種 年1回接種

当院では、WSAVAのガイドラインに基づき、ご希望の方には、 ①ワクチン抗体検査 ②レプトスピラとケンネルコフ単体の接種 を条件に3年に1回の接種の対応をさせていただきます。

抗体検査の結果、ウィルスに対する抵抗が低い場合は混合ワクチンの接種が必要になります。

抗体検査

体内にウイルスに対する抵抗が残っているかを調べる検査です。

レプトスピラとケンネルコフ単体の接種

レプトスピラとケンネルコフは、抗体持続期間が短いため、毎年の接種が必要です。